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常闇トワ生誕後夜祭アコースティックライブレポート

常闇トワ生誕後夜祭アコースティックライブレポート

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大手Vtuber事務所・ホロライブプロダクションに所属する常闇トワ(通称:トワ様)は8月9日、自身の生誕後夜祭を銘じたアコースティックライブをYoutube上にて開催した。トワ様は約50分のライブで8曲を披露。2万人を超えるファンがリアルタイムで視聴し、コメント欄には「TMT(※)」コールが流れ続けた。

※「トワ様マジ天使」の意。回線の問題で配信が止まったわけではない。

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いわゆる「歌枠」は多くのVtuberが活動の一環として行っており、Vtuberが自身のチャンネルで生歌を披露することは決して珍しい光景ではない。ただ、最近は各Vtuber の3Dモデル化が進み、より「ライブ」らしい演出ができるようになってきている。今回トワ様が行ったのも、3Dモデルを駆使したライブだった。

2020年8月現在において、バーチャル空間で3Dモデルを動かすモーションキャプチャー技術の精度は非常に高いと言っていい。小物(マイクなど)の持ち方や指の動きといった細かい課題はあるものの、人間の動きを再現するという点で違和感はほぼなく、バーチャルの存在である彼ら・彼女らの実在感を演出するには充分な水準に達している。

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しかも今回はアコースティックギターの生演奏付き。豪華だ。

さて、今回トワ様のライブは以下のセトリで行われた。

これからアーカイブを見るという方は、以下ネタバレ注意。

◎セットリスト

00:36~ ないものねだり/KANA-BOON

05:07~ シルエット/KANA-BOON

11:30~ ノーダウト/Official髭男dism

16:00~ 夏祭り/Whiteberry

21:58~ Namidairo/YUI

25:34~ プラチナ/坂本真綾

36:23~ 天球、彗星は夜を跨いで/星街すいせい

44:41~ 天体観測/BUMP OF CHICKEN

※左側の数字はアーカイブ動画における再生時間。気になった曲だけでもいいのでぜひ動画本編もご覧いただきたい。無料で視聴可能。

全体を通してまず注目したいのは、20代半ば~30代前半のリスナーに刺さる選曲である点。トワ様は今回、2週目の17歳を迎えたばかりなので彼女自身に馴染みがある曲ではなかったかもしれない。Vtuberリスナーの主な年齢層はこの辺りらしいので、客層に合わせてくれたと考えることもできる。

どの曲も素晴らしかったが、ここでは特に印象に残った2曲を取り上げようと思う。 『Namidairo』と『天球、彗星は夜を跨いで』だ。 

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常闇トワらしさが発揮された2曲

『Namidairo』は当時シンガーソングライターとして活躍していたYUIが2008年に発表した楽曲。ABC・テレビ朝日系列の連続ドラマ「赤川次郎ミステリー 4姉妹探偵団」の主題歌としても採用されていた。

恋人に迷惑をかけることを恐れてワガママになりきれない心情を仄暗いメロディに乗せたバラード曲。これをトワ様は見事に歌いこなしてみせた。特にCメロ以降の感情の込め方には目を瞠るものがあった。トワ様自身がしっかりとこの曲を解釈し、他の誰でもない「常闇トワ」がこの曲を歌い上げる意味を追求する姿勢が垣間見え、その点がこの曲を印象深くしたように思う。

Vtuberという狭いフィールドだけで見ても、歌が上手い人は多い。技術だけで比べれば、トワ様よりレベルが高い人もいるだろう。しかし、技術だけではない何かを感じさせてくれるシンガーは珍しい。彼女のポテンシャルを感じさせるという意味でも、特別な1曲になったのではないかと思う。

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そして特別といえば、『天球、彗星は夜を跨いで』を語らないわけにはいかない。この曲は同じホロライブ所属である星街すいせい(通称:すいちゃん)のオリジナル楽曲。YoutubeにアップされているオリジナルMVは2020年8月時点で300万回以上の再生回数を誇り、星街すいせいの代名詞と言っても過言ではない一曲だ。トワ様自身もMCで語っていた通り、歌唱の難易度が非常に高い曲でもある。一度聴けば、音程やリズムの複雑さが理解できるだろう。 

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トワ様から見て、すいちゃんは同じ事務所の先輩にあたる。二人はホロライブ中でも歌唱力が高いメンバーとして知られており、過去には生配信でデュエットをしたこともあった。普段の配信のふとした瞬間にこぼれる言葉などからも、お互いが実力を認め合っているのが伺える。

そういった関係性を知っているからこそ、トワ様の口から語られるすいちゃんへのリスペクトが真実味を持ち、胸に響いた。歌唱後、コメント欄にすいちゃん本人が現れ、トワ様が改めて「この曲を歌わせてくれてありがとう」と伝えるシーンも。こういったやりとりから、トワ様の人柄の良さも伝わってくる。悪魔なのに天使と言われるゆえんはこういったところにあるのだろう。トワ様マジ天使。

3D空間なら、何でもできる

さて、曲が素晴らしかったのはもちろんのこと、今回のライブにはもうひとつ着目すべき点がある。バーチャルだからこそできる、3D空間の活かし方だ。 先にも述べた『Namidairo』の歌唱が心に残ったのは、歌声だけでなく、カメラワークも素晴らしかったからだ。廃教会をモチーフにした3D空間は常闇トワのキャラクターにマッチしていたし、何より、これからのバーチャルライブの新しい可能性を感じさせてくれた点が大きい。

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『Namidairo』歌唱中のワンシーン。バーチャル空間ならではの演出だ。この空間ならば、月夜をモチーフにした楽曲もマッチするだろう。個人的にはハルカトミユキの『夜明けの月』をリクエストしたい。

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こちらは『夏祭り』でのワンシーン。シンプルな演出ながら、楽曲のテーマと空間を合致させている好例だ。それにしてもお顔がよい。ころころ変わる表情にも注目。

リアル(3次元)ライブでの演出と言えばライトや背景だが、それらだけではどうしても演出の限界があるように思う。たとえば水中を想起させたい場合、青色のライトを用いたり、水泡の映像などをバックに流したりするのが一般的で、それ以外の工夫の余地は少ないだろう(もちろん、そこに創意工夫を凝らす心意気は素晴らしいもので、それらがパフォーマンスを盛り上げる上で力不足だったと言うつもりは一切ない)。

しかし、Vtuberの3Dライブではライトや映像演出のさらに一歩先に踏み込める。先の例でいえば、水中をイメージした演出をしたければそのまま水中空間を映し、その中でVtuberが歌唱できる。これは、3次元では真似できない点だろう。

もちろん、水中はあくまで一例に過ぎない。熱い曲を燃え盛る炎の中で歌うこともできるし、曲中のストーリー、たとえば季節の移り変わりがあるのであれば、これまでよりももっと直接的にそれらを表現しながらステージングを行える。もちろん技術やコストの兼ね合いはあるだろうが、技術の進歩や業界の隆盛を見ている限り、決して夢物語と吐き捨てることはできないと思う。今後のVtuberのライブに新しい可能性を感じさせてくれたという点でも、素晴らしいライブだった。

余談だが、廃教会の3D空間は常闇トワ3Dモデルお披露目と同時に公開された。この配信にも歌唱パートがあり、『いけないボーダーライン(40:11~)』『そこに空があるから(47:55~)』などが披露された。こちらも必見。

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可能性の悪魔を推していく

トワ様自身は、翌日(8月10日)の振り返り配信で「もっと場数を踏みたい」と語っている。確かに歌詞が飛んだりテンポがずれたりするシーンがあったので、この課題感はいちリスナーとしても同感だった。

ただ、自分の課題をしっかり認識し、さらに上を目指そうとしてくれているトワ様が非常に頼もしいと思えたのもまた事実。いつか大きなステージで、堂々と歌唱する姿を見せてくれることだろう。いまからその瞬間が待ち遠しい。

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INFOMATION

◎公式プロフィール

常闇トワ

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◎常闇トワ生誕後夜祭アコースティックライブ(アーカイブ

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