NO WASTE

論理的に、そして感情的に。

【日記】想像力

貴志祐介の『新世界より』を読んでいて、人間はここまで想像できるのかと感動している。存在しない生き物や文化をここまでの解像度で文章にできるって本当にすごいことだ。人間の想像力って底知れないな、と痛感する。

一方で、どうしようもなく世界の見方が粗い人も、現実には一定数いる。

ただしそれはあくまでも「おれからするとそう思う」だけであって、もしかしたら彼らにとっての日々は精細なのかもしれない。だから客観的な言い方をするなら、焦点は人それぞれ、みたいな言い方にきっとなる。

焦点がそもそも違う。だから分かり合えないし、分かり合う必要もない。

そういう割り切りをして、なるべく距離を置き、お互いの領分を侵さないようにする。そんな生き方のほうが平穏ではある。

ただ、創作において(それを作品に落とし込むかは別として)世界に対する解像度は高いに越したことはない。『新世界より』を読んでいると余計にそう思う。なので、ふと触れ合ってしまった瞬間に、距離は取りつつ、相手の価値観に思いを馳せることは重要なのかもしれない。言い方は悪いが、養分を見逃してしまうのはもったいないからだ。

そういうときこそ想像力の出番だろう。生々しさばかり求めてしまうと、消化するのが大変だ。多少、自分の都合の良いように解釈したって、そこに整合性があるならば、十分に血肉と成り得る。火を通せばだいたいのものは食べられるのと似ている。