無駄はない。

論理的に、そして感情的に。

内浦ふしぎ発見

ダイヤさんの実家のモデルである『大川家』

そして、雑誌『DIVER』の企画で伊波さん、逢田さん、諏訪さんが訪れた『海のステージ』

 

6月頭に伺った上記2つのスポットで、僕はミステリーの気配を感知しました。

 

■File1.消えた朱印状

f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619222422j:image

まずはダイヤさんの実家のモデルとなった大川家です。

史跡としては長屋門と呼ばれる部分だけで、それより中はあくまで一般の民家です。

もう本当に民家。足を踏み入れた途端に通報されないか不安になるくらい民家です。

 

今回の旅の目的は(後付けながらも)執筆中の長編のための取材としていたのですが、

さすがにこの雰囲気では、上がらせていただくのは難しいかなと思っていました。


しかし、成果なしでは帰れない。

そんな想いが僕の背中を押します。

 

少し敷地に踏み込んだ後、勇気を出して「ごめんください!」と呼び掛けると、奥から

和やかな表情をしたご婦人が姿を現しました。

挨拶を交わし、僕は「このお宅がラブライブというアニメの舞台になっていると聞いて

やってきました」…と伝えようとしたのですが、「ラブライブ」の「ラブ」くらいまで

口に出したところで、奥様は合点がいったという様子で微笑み、玄関の方へどうぞとお

っしゃってくださいました。

 

やけに慣れた応対だと感じたのですが、玄関を開けると得心しました。

驚いたことに、いわゆる「祭壇」が目に飛び込んできたのです。


f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619222733j:image

各種グッズや降幡さんのサイン、更には交流ノートまで置いてありました。歓迎ムード全開じゃねーか!

 

さておき。

広間に上がらせていただくと、すぐに見覚えのある光景でした。


f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619222828j:image

 

ダイヤさん推しの僕としてはついつい呼吸が深くなりましたね。(意味深)

 

奥様はサンシャインに関することを積極的にお話してくれました。

この広間が何話のどのシーンに出てきたかがまとめられた資料(ファンの方が作って寄

贈してくれたそうです)を交えながらの説明や、アニメスタッフによるロケハンの状況

や、フォトジェニックという雑誌の撮影で降幡さんがいらっしゃった時のことなど…。

思わず目的を忘れそうになるくらい、楽しいお話を聞かせてくださいました。

 

もちろんそれはそれで興味深かったのですが、僕がここに来訪したのは、黒澤家のモデ

ルとなった一族の歩みを知るためです。

 

ラブライブトークもそこそこに、不躾ながらも「実は網元の歴史にも興味があって…」

と切り出しました。

 

切り出した瞬間、奥様の顔付きが少しだけ真剣味を帯びた気がしました。

思わず僕もうわついた思考を棄て、背筋を伸ばします。

 

奥様は貴重な資料を交えながら親切に網元の歴史を教えてくださいました。


f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619223004j:image

 

ただ、ここでその詳細を述べることはしません。

僕自身、語れるほど調べてきれていないというのと、既によくまとめられた記事があるからです。

ぜひこちらも読んでみて下さい。

(リンク掲載の許可はいただいております)

tegi.hatenablog.com

 

さて、ばっさり要約します。

大川家は内浦という土地の権力者でした。

その関係で、行政とも権利書や命令書をやりとりしていたと、奥様に教えていただきました。

 

そして、その政府とのやり取りに使われた文書が、大川家には多く保存されていました。

これを発見したのは渋沢敬三という人物ですが、この人物の詳細は先に紹介したブログ

内に詳しく記載されているので割愛します。

 

それらの文書の中に『朱印状』というものがあったそうです。

土地の権利書のような書類と考えていただけると分かりやすいかと思います。

 

さて、大川家には全部で17枚の朱印状が保存されていたのですが、僕はこれらの文書に

ミステリーの気配を察知したのです。

 

この朱印状が発見されたのは昭和初期のことなのですが、これらの原本は国の保管施設

に移送されることになりました。

内浦の漁業史を分析する上での大変貴重な資料ですから、当然の措置といえます。

 

しかし、移送の際に、あるトラブルが起きてしまいました。

 

17枚の内の1枚が、消失したというのです。

 

移送が行われたのは昭和初期。

なるほど、時代も時代ですから、今ほど厳密な管理ではなかったかもしれません。

紛失なり盗難なりという可能性は充分に有り得るでしょう。

しかし僕はこの話を聞いたとき、違和感を覚えずにはいられませんでした。

 

――なぜ、1枚だけなのでしょう?

 

常識的に考えれば、形も紙質も同じ17枚の書類を、個別に管理していたとは思えません。

そして、17枚をひとつの束にまとめて管理していたのであれば、紛失なり盗難なりに遭

ったとしても、それらは一蓮托生の関係であったと考えるのが自然ではないでしょう

か?

 

しかし、実際に消えたのは1枚だけ。ここに推測と事実の齟齬があります。

 

僕は訝しみました。

朱印状の消失には、何者かの作為があったのではないか、と。

作為があったということは、動機があった。

17枚の内から1枚だけを抜き取った動機とは何か。

失くなった1枚に何か特別な付加価値があったのではないか。

では、その付加価値とは何か…。

 

奥様はこれに関するとある事実を話してくださいました。

即ち、失くなった1枚を含めた17枚の複写(コピー)は、今もなお大川家に現存すると

いう事実です。

 

残念ながら、17枚のどれが消えた1枚なのかは分からないとのことでした。

なので朱印状の内容から動機を推測することはできません。

 

しかし重要なのは、複写が残っているという事実です。

複写があるということは、朱印状の内容は現存しています。犯人が、朱印状に書かれた

内容を葬りたかったのであれば、詰めが甘かったということになります。

 

しかし、犯人の意図が別にあったとしたら?

 

原本であることに価値があったのか。

紙そのものに何らかの仕掛けが施されていたのか。

1枚だけが消えるというシチュエーションそのものを欲したのか…。

 

考えれば考えるほど、想像が広がっていきます。

 

もちろん、事実としては単純に1枚だけ束から抜け落ちたとか、ありきたりなことかも

しれません。

ですが、そういった謎の気配を捉えて想像を膨らませてしまうのが、ミステリファンの

悲しき性なのでしょう。

これが、内浦で出会ったひとつめのミステリーです。

 

■File2.スカンジナビア号の謎

まずはこちらをご覧ください。
f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619223111j:image

立派な船の模型です。


実はこの船、つい10年ほど前には実際に内浦の海に錨を下ろしていたのです。

名をスカンジナビア号といいます。


f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619223225j:image

(浮かんでいたのは、なんと長井崎中学校のすぐ近く!)


かの船が内浦にやってきた経緯は省きますが、長きに渡り海上レストランとして稼働し

ていました。

しかし、バブル崩壊を契機に経営は傾き、やがて海上レストランとしての営業を断念す

る運びとなってしまいました。

 

その後はスカンジナビア号を内浦に残そうという動きもあったようなのですが、最終的

にはスウェーデンの造船会社へその身を引き取られることになりました。

 

2006年、スカンジナビア号は多くの住民に惜しまれながら内浦を去りました。

しかし、スウェーデンに辿り着くこともなかったのです。


f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619223330j:image


f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619223342j:image



そう、沈没です。

ここでまた、ミステリファンの悪癖が顔を出します。

 

なぜ、スカンジナビア号は沈没したのか?

 

ただの事故だった可能性は大いにあります。

実際、長期間渡航していなかったために強度面での不具合があったという説が有力です。

 

でも、もし、この沈没が意図的なものだったとしたら?

そんな風に考えてしまうのです。そしてその想像も、まったくの無根拠ではないというのが面白いところなのです。

 

長井崎中学校近くにある富士見トンネルを抜けた先に「海のステージ」というカフェがあります。

ここにはスカンジナビア号に関する資料がたくさん展示されています。

 

f:id:Takuetsu_Ayabe:20170619230953j:plain

(これまで載せたスカンジナビア号にまつわる写真はすべて海のステージさんで撮影させていただいたものです)

 

当然といえば当然かもしれませんが、従業員の方々もスカンジナビア号について詳し

く、業務の合間を縫って色々とお話を聞かせてくださいました。

 

その中で沈没の背景の話になったのですが、ここで僕は非常に面白いお話を聞きました。

実は、スカンジナビア号の沈没によって金銭的に得をした組織があるというのです。

 

その組織は現存しているので詳細を語ることは自粛しますが、もしかしたら彼らが作為

的にスカンジナビア号を沈めたのかもしれない…。

思わず、そんな想像を膨らませてしまいました。

 

他にも可能性は考えられます。

もしかしたら、スカンジナビア号の内部には何者かにとって都合の悪いもの(例えば、

床に染み込んでしまった何かなど)が残っていて、それを隠滅するために船ごと海の底

へ沈めてしまったのかもしれない…。などなど。

 

これが、ふたつめのミステリーでした。

 

 

いかがだったでしょうか。

いずれも現地の方々に話を聞いて、僕が強引な解釈をしただけなのですが、少しでも僕

が感じた浪漫が伝われば幸いです。

 

繰り返しですが、事実はどうあれ、想像する余地があるということに魅力を感じたとい

う話でした。

関係者の皆様に怒られかねない取り上げ方だったかもしれませんが、このような関心の

持ち方もあるのだとご理解いただけると幸いです。 

 

以上、似非ミステリーハンターの戯言でした。

ここまでご覧くださりありがとうございました。

 

いやあ、タイトル落ちでしたね。

約一年。

※ただの呟きです。お役立ち情報はありません。

 

――僕が同人活動をはじめたきっかけが『μ's FINAL LOVELIVE』であることは間違いないのですが、具体的にいつ頃だったかなあ、と思い、創作フォルダを古い順にソートしてみました。

 

f:id:Takuetsu_Ayabe:20170529213546j:plain

 

現時点から遡るとちょうど一年前くらいですね。

ファイルの乱雑さから、当時の不慣れさが感じられます。ははっ(失笑)

 

一年。長いような短いような。

 

結局、ミステリという括りだと二作しか書き上げていないんですよ。

長編をひとつと、短編をひとつ。

ミステリ以外も含めても、短編がプラス二作。

 

先日の僕ラブ16に出てみても思いましたが、圧倒的に小説を書き上げる経験値が足りません。

書きたいことはたくさんあるのに体がついていかない感じです。

ぜえぜえ言いながら書くことで、コンスタントに書き続けられる体力がついていくんでしょうか。今のところはそう考えて、地道にやっていこうと思っています。

 

僕ラブ16といえば、予想より少し多めの方々に手にとっていただけました。

委託のことも考慮するとほぼ理想的な頒布数だったので、ほっと一息。

 

お手にとってくださった皆さん、ありがとうございました。

ボタン押すだけの簡易感想フォームをご用意しているので、ぜひ感想をよろしくお願いします。みなさんの感想が命の源です。

docs.google.com

 

ついでなので、これからの執筆について少し。

いまメインで取り組んでいるのは、黒澤ダイヤを主人公に据えた長編SFミステリです。

SFといってもロボットやクローンが出るほうではなく、少し不思議なほうです。

今回はキャラクターをどれだけ掘り下げられるかという挑戦なので、推理要素はほとんどありません。

黒澤ダイヤの本質をどれだけ描けるか、という点に注力しています。

サンシャイン2期がはじまる前には完成させたいです。

 

 

 

しかし、その長編が行き詰まってしまいました。南無。

そんな背景があり、気分転換にと思って短編ミステリに手を出してみました。

www.pixiv.net

それまでは絶対短編なんて書けないと思ってたんですけど、お酒の力で強引に書き上げたところ、一応かたちにはなったので、案ずるより産むが易しとはこのことかといった心地です。

今後もタイミングを見つけて短編に挑戦しようと思います。

(こっちに集中しすぎて長編をおろそかにしないように気をつけよう…)

 

最後ですが、ありがたいことに、僕ラブ16にて合同誌のお誘いをいただきました。

詳細は未決なので情報は留めておきますが、折をみて発信しようと思います。

かたちになった際はご贔屓にお願いします。

 

今回はこんなところで。

次回はサンシャイン2期のストーリー予想でもやってみようかなと妄想中です。

 

それでは。

同人誌のマーケティング戦略

苦心(あるいは快楽)の果てに完成させた作品を多くの人に届けたいというのは、あらゆる創作者が持つ普遍的な欲だと思います。

そして消費者の視点からしても、この世にある良い作品を手に取りたいというのも、普遍的な欲と言えるでしょう。

しかし残念ながら、その橋渡しが上手くいかず、作品と消費者がすれ違ってしまうというのもまた、往々にして発生する事象です。その確率をゼロにすることは決してできません。

ですが、確率を下げる努力はできます。それ即ち、マーケティングの努力です。

 

私事ですが、私、綾部卓悦はマーケティングという学問を学んだ経験があります。そこで得たあれやこれを、『音ノ木坂学院の死』を頒布する機会にかこつけて実践してみたのです。

 

結果として、

Twitterフォロワー数約60名の人間が

・初めて参加した即売会で

・2,000円の同人小説を

・30冊以上捌いて完売させた

という実績は出たので、まあ優しい目で見れば成功と言っても差し支えないでしょう。

今回はその経験で得た気付き等を皆さんにシェアしようと思い、記事を書いています。

 

なぜそんなことをするのかって?

私が面白い作品を入手する確率を上げたいからさ!

 

※最近は即売会におけるサークルと一般参加者の在り方が色々と議論されているようですが、私は界隈に入ったばかりの新参者ですのであまりその辺りの事情に関心はなく、今回の記事もその点には無配慮で書こうと思います。ご了承ください。

※一般的に、マーケティングとは「モノが売れる仕組みを作ること」です。ただし同人誌は「売る」を目的とした製品ではないので、本記事の中では「作品を、手に取るべき消費者に適切に届ける方法」と定義しておこうと思います。

※と言いつつ「購買」や「競争力」といった言葉を使います。下手に噛み砕くと煩わしい表現になるためです。ご了承ください。

 

 

さて、本題に入っていきます。

 

まずお伝えしたいのは、マーケティングは奥深くて面白いということです。

厳密に言えば作品づくりもマーケティングの一部ではあるのですが、そこで終わらせるのはもったいないです。それを誰にどうやって届けるかと頭を捻らせることの楽しさを、是非とも体験して欲しいと思っています。

 

では、具体的に何を考えるべきなのか。

私が主に考慮したのは以下の3つです。

 

①ターゲット層

②価格設定

③プロモーション展開

 

本来なら、他にもたくさん考慮すべきことはあります。そもそも製品ありき(プロダクトアウト)の考え方からして既にナンセンスではあるのですが、同人誌という製品の特性を考慮し、その点は目を瞑ろうと思います。

 

以降、私の作品を例に使いながら各項目について述べていきます。

 

[拙作『音ノ木坂学院の死』] 

f:id:Takuetsu_Ayabe:20170326220915j:plain

 

①ターゲット層

音ノ木坂学院の死』はその内容を踏まえて、ラブライブ×本格ミステリと銘打ちました。

では、この作品のターゲットとは誰でしょう?

単純にいけば、「ラブライブが好きで、尚且つミステリ小説が好きな人」です。

でも、それだけでは曖昧過ぎます。

ラブライブが好きな人とは、どういう人か?」

「ミステリ小説が好きな人とは、どういう人か?」

「その人たちは、なぜそれらが好きなのか?」

と深掘りしていくことが肝要です。

実際に深掘りした過程を書くと膨大になってしまうので割愛しますが、『音ノ木坂学院の死』に関しては、「成功体験に飢えている」「知的活動に関心がある」「ドM」等の分析を踏まえて、最終的にメインターゲットを「謎解きイベント等に足を運ぶ習慣がある社会人ラブライバー」に設定しました。

肝心なのはなるべく具体的にイメージすることです。一人の人間を作るくらいの気持ちで取り組んでも、行き過ぎではありません。ちなみにこの工程をマーケティングの言葉では「ペルソナを作る」と言います。ちょっとわくわくしますね。

 

ターゲットを具体的に想定することで、価格設定やキャッチコピーを考えるベースができます。なので、このプロセスは非常に大切です。

まだピンと来ないかもしれませんが、読み進めて頂ければ分かると思います。

 

②価格設定

音ノ木坂学院の死』を知った方はまずこう思ったと思います。

 

高い。

 

そうなんでよね。高いんです。2,000円あれば他の同人誌何冊買えるんだ、と。

でもこの価格にしたのには理由があります。

もちろん、お小遣いを稼ぎたかったからではありません。

(蛇足ですが、今まで投じたコストを考えるとこの価格でも儲けは出ていません)

 

端的に言えば、客層の質を上げたかったのです。

こう言うと語弊があるかもしれませんが、安さを理由に作品を手に取る(あるいは価格を理由に敬遠する)ような方は今回のマーケティング対象外でした。

 

ミステリ小説とは知的な遊びという一面が強いです。それに対してそれなりのお金を払えるような方というのは、当然、知的な方である傾向が強いです。

※「知的」の定義は面倒なのでしません。フィーリングです。

 

そして知的な方に手にとって頂けるということは、無用なトラブルを避けたり、質の高いフィードバックを受けられる可能性を上げるということに繋がります。

私はこれらのメリットを享受したかったのです。

 

そしてこの価格設定には、最初に定めたターゲットが「社会人」だったということも反映されています。社会人であるということは、一般的に考えると若い方よりもお金に余裕があるということですから、多少高めの価格に設定しても、購買意思決定の障壁にはなりにくいと踏んだのです。

そもそも、同人誌は一期一会であることから、お金に糸目はつけないという風潮が強いようです。それも、今回の価格設定に踏み切った理由のひとつです。

 

更にもうひとつあります。

ある程度の値段を提示することで、作品の質を保証したかったのです。

 

例えば、1,000円で泊まれる温泉宿があったとして、皆さんはどう感じるでしょう。

「安すぎて怖い」と思いませんか?

いくら綺麗な内装写真を見せられたとしても、低品質な食事や心霊現象を想像してしまうのが自明です。

 

つまり、行き過ぎた低価格は不信感に繋がるのです。

裏を返すと、高価ということは期待をしてもらえるということでもあります。もちろん、内容が価格に見合っていなければ「高いのにつまらない」という最悪の評価を付けられるリスクがあるので慎重な判断は必要ですが、自信があるなら強気に出るべきだと思います。

ちなみに、売れ残りそうだから値下げするなんて行為は逆効果だと思ってほぼ間違いないです。「私の作品は低品質です」と言っているようなものですから。

自分の作品に誇りを持っているならば、たとえ虚勢だろうと、堂々と構えているべきだ!というのが私の意見です。

 

最後になりますが、一見問題なさそうに見える「高品質なのに低価格」という方策もいいことばかりではありません。

市場全体がその基準になってしまうリスクがあるからです。「高品質低価格」は必ずどこかに無理が生じています。その無理している状態がデフォルトになってしまうと、未来の自分の首を締めるだけでなく、市場全体――つまりは他のサークルさんを苦しめることにもなりかねません。

時間とお金を掛けたのならば、それに見合った価格設定をするのが自分のためでもあり、他人のためでもあるのです。

 

まとめます。

ここで言いたいのは『高い=悪い』ではないということ。

そして、『ターゲット層に合った価格設定をすることが大切』ということです。

 

③プロモーション展開

本記事のメインとなります。

これを考えるために、ターゲット層を絞ったと言っても差し支えありません。

 

そもそもの話ですが、マーケティング理論において「誰にでもウケるコンテンツを出そう」という考えはナンセンスです。それはまだ物資や情報が充分に出回っていなかった時代においてのみ通用していた考え方であり、今の世の中には合いません。

爆発的に情報量が増えた現代においては、適切にターゲットを絞り、その限定された範囲に対して、いかにインパクトを与えるかを考えなくてはなりません。「選択と集中」という考え方です。

 

では、同人活動において、消費者にインパクトを与える(=競争力を高める)にはどんな手段があるでしょうか。

 

様々な理由から、価格の安さで勝負することはできません。

販路も限定されているので、考えてもあまり広がりがありません。

 

となれば、製品自体のクオリティと、プロモーションに尽きるのです。

 

今回は小説の書き方講座でもないですし、そもそも講釈できるような実力はまだ付いていないので、製品そのもののクオリティについて言及はしません。これは各自で頑張りましょう。

 

というわけで、いかにプロモーションで目立てるかを考えます。

ですが、一口にプロモーションと言っても色々あります。それをすべて紹介するのは手間が掛かり過ぎるので、今回は「キャッチコピー」「サンプリング」「広告戦略」に絞り、競争力を高める方法を探っていこうと思います。

 

・キャッチコピー

さて、記事前半で、『音ノ木坂学院の死』のメインターゲットは「謎解きイベント等に足を運ぶ習慣がある社会人ラブライバー」であると述べました。

 

では、彼らに刺さるキャッチコピーとは何か?

 

これはあまり難しく考える必要はなく「ラブライブの二次創作であることを示す」「ミステリ小説であることを示す」「謎解きを想起させる」という条件が浮かんでくるので、それらを満たせるコピーを考えればいいだけです。

 

お分かりでしょうか?

ターゲット層を明確にしておくと、ここで非常に楽ができるのです。

 

だから、ターゲット層の選定は重要なのです。

この点以外にもたくさんの恩恵があるので、まずはターゲティングを優先しましょう。

 

話を戻します。

ここでは『音ノ木坂学院の死』の帯に記したコピーについて紹介します。やはり帯は本の顔ですから、ここに注力するのが最も効率的であると考えられるからです。

 

[実際に使用した帯]

f:id:Takuetsu_Ayabe:20170326214928p:plain

 

さて、今回はシンプルに「謎を解け」というメッセージを前面に押し出し、謎解きが好きな人の関心を惹けるように工夫しました。また、命令形を用いて愚直に挑戦を吹っ掛けることで受け手を煽る(=関心を高める)狙いも含んでいます。

 

加えて「微熱が出そうな本格ミステリー!」や「ラブライブ×本格推理小説」という文言で、作品内容を伝えました。

「微熱が出そうな本格ミステリー!」は単にリリホワの「微熱からMystery」をオマージュしたかったというのもあるんですが、読者に、作品を読んだあと(或いは読んでいる最中)の自分をイメージさせたくて採用しました。上手いコピーというのは往々にして、「製品を使っている自分」を受け手にイメージさせられるものなのです。

「微熱が出るくらい頭を使って考えて欲しい」という私の願いを反映させつつ、受け手に読んでいる自分をイメージさせたくて、このコピーに辿り着きました。

 

もちろん、上手いコピーを考える観点は他にもたくさんあります。

例えばSUNTORYのハイボールの広告に使われた「春はあげもの」のように、有名なコンテンツのオマージュを実現しつつツッコミどころを孕ませることでキャッチーにしたり、朝日新聞の「このままじゃ、わたし、可愛いだけだ」のように受け手を肯定して気持ち良くさせつつ焦燥感を煽るといった方法もあります。

 

この辺りを語り始めるときりがないので打ち止めとしますが、興味があれば事例を調べてみることをおすすめします。奥深くて面白い世界ですよ。

作品を書くことももちろんですが、キャッチコピーを考えるのも自身のクリエイティビティを発揮できる領域なので、創作が好きな皆さんならきっと楽しんで取り組めると思います。

 

尚、私は以下の流れで考えました。

①自分の作品に関連する言葉をひたすらノートに書き出す

②その中で、ターゲット層とマッチしないと感じたものを削る

③残った言葉をあれこれ組み合わせる

※あくまでも一例です。途中で新しい言葉を追加したりしてもいいと思います。身構えず自由に考えると楽しいです。

 

・サンプリング

2点目です。

音ノ木坂学院の死』はその全編をPixivで公開してから製本して頒布した、という経緯があります。

www.pixiv.net

www.pixiv.net

見方によってはかなり強気に見えるでしょう。無料でも全編読めるのに、わざわざ高いお金払って買ってくれる人なんているの?という疑問は当然、私自身も感じていました。

この方法に踏み切ったのは、実は理論に基づいたわけではなく、単に「自分が読者だったらこうして欲しいな」を実現したに過ぎません。

 

いや、だって、内容も分からない本に2,000円は出しにくいですよ。

 

もちろんそうでない方もたくさんいらっしゃるとは思うのですが、私だったらちょっと手が出ないです。どうしたって、「これでつまらなかったら嫌だな」と考えてしまいます。

そういった、買い手の不安を取り除くにはどうすればいいでしょうか?

 

最初から全部見せちゃえばいいじゃん。

 

短絡的ですが、これはこれで間違いないと思うのです。

こうしておけば安心して買っていただけると思いましたし、物語の構造上、これは紙で読みたくなるだろうという自信もあったので、あまり決断に時間は掛かりませんでした。

(後から気付きましたが、転売対策に一役買っている可能性もありますね。私には無縁の話ですが…)

 

もちろん、これはすべての作品にとって有効な手段というわけではありません。

作品自体にある程度のボリュームがあることや、ターゲット層の中に紙で読みたい派の方々がそれなりにいると見込めるといった条件を満たした場合のみ有効だと思われます。例えば、「ターゲット層が学生」の「10ページ小説」に対してこんな戦略を取ったら確実に売上が落ちるでしょう。

サンプリングの手段は、自分の作品をしっかり分析した上で決定することをおすすめします。

 

・広告戦略

最後です。

全編を公開してしまうというのもある意味では広告戦略なのですが、ここでは動画広告の有用性を紹介しようと思います。

要は「CMを作るといいことあるよ!」ということです。

 

なぜ、CMなのか。

重要なのは「動画である」ということです。

最近のマーケティング屋さんたちの中では、動画コンテンツによる訴求は常識です。

(もしかしたら既に古い観念の可能性もありますが…)

 

先程も少し触れましたが、今は情報過多の時代です。

外を歩けばそこかしこに広告があり、今やWeb上でも広告から逃れることは難しくなっています。

そして、その大半を消費者は無視しています。興味がないからとかそういう次元ではなく、そもそも脳が処理しきれないのです。

 

では、消費者にメッセージを届けるにはどのような工夫をすればいいのか?

ひとつは、ターゲット層を絞ること。これは既に述べたのでいいですね。

もうひとつは、消費者に楽をさせてあげることです。

消費者に楽をさせるとは、言い換えると「文字を読む手間を省いてあげる」ということです。

 

文字を読む、というのは能動的な行為です。エネルギーが要る行為です。

それを消費者に強いる方法ではなかなか届かないというのが、どうやら最近の風潮らしいのです。

 

対して、動画の閲覧は受動的な行為です。

いや、厳密に言えば完全に受動的な行為ではないのですが、文字広告を読むよりは確実にエネルギーを使わずに、脳が内容を処理できるのです。

明確な根拠を示すことは控えますが、皆さん自身の体験から考えて頂ければ腑に落ちるのではないでしょうか。

 

同人活動の告知はTwitterがメインフィールドになっているように感じるので、TL上で再生できる動画を使わない手はありません。

体感ですが、今のところは告知動画があるという事実だけでも「おお、なんか気合い入ってる」と思わせることができるようなので、そういう意味でもお得です。

 

でも、動画作成なんてハードル高そう……。

そんな声が聞こえてきそうですね。

 

その通りです。

 

いやそこは「そんなことありません」の流れじゃないんかーい!と思われるかもしれませんが、嘘をついても仕方ないので。

最初は難しいです。私もけっこう苦労しました。

 

でも、一度覚えてしまうと、色んなところで役に立つスキルです。

同人活動以外でも経験が活きた場面はあるので、やっておいて損はないと思います。

 

ちなみにお金は一切かけていません。

AviUtlというフリーソフトと、その解説サイトと、フリー音源だけでも私が発信した程度のクオリティであれば何とかなります。もちろん、極めればもっと凝ったこともできるようです。

 

[自作した告知動画] 

 

ちなみに私は絵が描けないタイプのフレンズなので、文字の見せ方だけで頑張りました。本当は絵を使えると動画の良さがもっと発揮されるんですけどね。絵と音楽は強い味方です。

 

しかし、動画に限らず、フレンズによって得意なことは違うから!と割り切れば、意外とプロモーションの工夫としてできることはたくさんあります。大事なのは視野を広げて考えること、というのが私見です。

思えば、表紙や帯のデザインも絵を書かずに乗り切りました。お絵かきが得意なフレンズに依頼することも考えましたが、コミュニケーションが苦手なフレンズなので諦めました。(フレンズって言いたいだけ)

  

 

思った以上に長くなってしまった。

 

つらつらと書いてきましたが、この辺りで力尽きようと思います。

最後に大前提を確認しておきますが、

 

マーケティングが活きるのは良い作品あってこそです。

 

これは自戒を込めて言うのですが、

つまらない作品をマーケティングの力で多くの人に届けることはできません。

「面白い作品があるのにそれを届ける方法が悪いせいで手に取るべき人の手に届かない」という状況に陥る確率を下げるのが、本記事におけるマーケティングの本懐です。

 

私はマーケティング戦略を練ること自体に楽しみを見出すタイプなのでこちらに時間を割いてしまいましたが、本来はその時間を作品の質の向上のために使うべきなのです。

しつこいようですが、マーケティングは作品づくりよりも優先して行なうことではありません。なので、製作に余裕がある(もしくは私のように考えること自体を楽しめる)人に対して、本記事が少しでも良い影響が与えられれば幸いです。

 

……なんて、綺麗事を書きましたが。

私がこの記事を書いた目的は、私自身が良い作品に巡り会える確率を上げるためです。

 

なので、この記事を読み終えたら速やかに製作に戻ってくださいね。

あなたの素晴らしい作品が私の手に届く瞬間を、心待ちにしておりますので。

 

最後になりましたが、あくまでも本記事の内容はマーケティングを齧った程度の人間が書いたものなので、鵜呑みにはしないでください。

それでも、ほぼ素人であることを承知の上で、ご質問やご相談があるという場合は、可能な限りお受けします。

当ブログのコメントやTwitterで気軽に話しかけてください。コミュニケーションが苦手なフレンズなので会話のきっかけが欲しいんです。

 

それではまたどこかで。

 

綾部卓悦 (@Takuetsu_Ayabe) | Twitter

Step Zero to One

小さい頃から本が好きでした。
中学生くらいまでは専らファンタジーを。それ以降はアルセーヌ・ルパンシャーロック・ホームズを。ルパンやホームズははっきり言って内容は殆ど理解せず、読んでいる自分に陶酔するために読んでいました。思春期特有の症状ですね。とはいえ、漠然とではありつつも、明晰な頭脳で謎を解く登場人物たちに憧れを抱いていたのも確かな事実です。
 
それからミステリーというジャンルにも手を出すようになりました。そして、一冊の本格ミステリに出会いました。綾辻行人先生の『十角館の殺人』です。すべての真相を示すあのたった一言の台詞が私に与えた衝撃たるや。この世には、こんなにも鮮やかな文章があるのかと。全身が粟立ったあの感覚は忘れられません。初めて心の底から「ミステリー小説って面白い!」と思えたのが、この瞬間でした。
 
こういった読書遍歴の中、常に心の底を細々と流れ続ける想いがありました。
即ち、小説家になりたいという想いです。
 
しかし同時に、なれるわけがないと諦めてもいました。
だって、小説家は一部の才能ある人たちの職業だから。自分にそんな特別な才能なんてないからなれるはずはない、と。何も試してすらいないのに。
 
その気持ちが変わり始めたのは、ラブライブに出会ってからでした。夢に向かって駆け抜ける18人を見て自分も頑張ろうと思えたのは私だけではないはずです。
 
ラブライブの他にも、やろう!と思ったきっかけはいくつかあります。それは南條愛乃さんがラジオで発言していたある一言だったり、懇意にさせて頂いているミステリ作家さんから贈られた言葉だったりするのですが、詳しい話はまたいつか当ブログで紹介しようと思います。
とにかく、少しずつ自分の夢に素直になろうと思えるようになっていったのです。
 
しかし、ここが私の弱さなのですが、いざやってみようとしても足が動きませんでした。
気持ちは前向きになれたけど、具体的なアクションを起こせない。『いつか』や『その内』だけが堆積し、ただ彼女たちを遠くから眺めるだけになってしまっている。そんな状態がしばらく続きました。同じような心境に陥っていた(あるいは今も陥っている)方も、多いのでは?
 
そんな折、いよいよ一歩踏み出さねばならないと思ったきっかけが訪れました。
それは、2016年4月1日。私たちの胸に焼き付いて離れない、あのライブです。
 
皆さんはあの日、μ'sから何を受け取りましたか?
 
私は夢へ向かって踏み出す勇気を受け取りました。
MOMENT RINGにある『新しい夢が生まれてくるとぼくたちは知ってるよ』という歌詞。それを彼女たちの歌声に乗せて聴いた時、私の胸に詰まった『いつか』『その内』は一撃で吹き飛ばされ、奥で燻っていた想いが燃え始めたのです。
私は思いました。
ああ、受け取ってしまった、と。
そして受け取ったことを、彼女たちは"知っている"。ならば逃げる訳にはいかないだろう、と。

さて。
きっかけの日から約1年経った2017年3月12日。
この日、大田区産業プラザPIOにて催された僕らのラブライブ!15というイベントにて、私、綾部卓悦は『音ノ木坂学院の死』という同人小説を頒布しました。
当然のことながら、会場にいた皆様にとっては単なるいち同人誌だったことでしょう。
ただ、私にとっては、大きな意味付けのある作品です。
 
過去にもお遊び程度に物語を綴った経験はありました。
しかし、執筆という行為に真剣に取り組んだのは、今回が初めてでした。
そういった意味で『音ノ木坂学院の死』は自分の中での処女作であり、同時に、夢への第一歩を踏み締めた実感を伴う、思い入れの強い作品となったのです。
 
そう。
音ノ木坂学院の死』は、プロのミステリ作家になるためのFirst Stepということです。
たかが同人誌。されど同人誌。私は、私なりに、真剣に取り組んだのです。
 
3月12日といえば、奇しくもAqoursの1stライブの直後でした。
彼女たちの第一歩と、綾部卓悦の第一歩。
そのタイミングが近かったことに、ほんの少しだけ運命的なものを感じました。
向いている方向は別々ですが、彼女たちの勢いに負けないよう、精進します。
 
……いや、ほんとに、精進しなくてはならないのです。
あまり自分の作品を悪く言うと読者の皆様に失礼なので小さなボリュームで言うのですが、トリックは古いし、物理的な根拠には欠けるし、動機と仕掛けのバランスは悪いし……もう、反省点ばかりでして。
本格ミステリと大見得切ったのも、本当は少しやりすぎだったかなとも思っているのです。(後悔しているわけではないのですが)
 
ともかく、今後の作品では、今作の反省を活かし、より良いものを書きたいと思います。
 
長くなってしまいました。
仰々しい挨拶は苦手なので、シンプルに締めます。
 
今後のブログでは、以下のテーマを書こうと思います。
 
・ライブの感想
 Aqoursに限らず。ラブライブとは無縁のライブ、あるいは過去のライブについて。
・同人誌のマーケティング
 僕ラブ15である程度の成果を出せたので、私なりに工夫した点についてつらつらと。
・頂いた感想のご紹介
 以下フォームより頂いた感想の中で、紹介可として頂いたものに関して。
・綾部卓悦の人生観
 何かしら思うことがあったときに。
・次回作について
 ただの呟きになるかもしれません。
                        and more...
 
今後ともよろしくお願いします。